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 こんにちは、安芸です。
 久々に近況など。ある方から『生きてる!?』とメッセをいただきましたので、生存報告です。
 興味のない方は回れ右にてお願いいたします。
 タイトル通り、体力の限界に挑んでいます。
 そうです、今年もやってまいりました。踊りの大会です。熱戦が繰り広げられるこの季節、安芸も参戦しています。
 そして去年に引き続き、今年もトップ集団に配属されました。なぜに……謙遜でもなんでもなくてそんなにうまくないよ!? 頑張りますけど!!
 次から次へと変わる振りつけに右往左往しつつ、めまぐるしい音楽に翻弄されつつ、筋肉疲労に悩まされつつ、日々を邁進しております。
 
 練習漬けですが、書いてます。孤独な作業です。たまに表に出てきますが(受難~も迷惑~もそろそろ完結に向けてラストスパートなのに)基本裏でひとり黙々と書いてます。
 たまに皆さんとおしゃべりしたいなあ……と思いつつ、ただでさえ遅筆なのでガマンしています。笑。
 
 地元はようやく暖かくなり、桜の開花も近いかな~というところ。いまはクロッカスが咲いてます。
 春ですね~。春は好きー。でも夏が一番好きー。ちなみにGWは練習&カンヅメ。ううう……。

 まだしばらく不定期に浮き沈みしますが、引き続きよろしくお願いいたします。
 安芸とわこでした。

 


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【2014/04/28 11:13】 | 日々あれこれ
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 こんにちは、安芸とわこです。

 彼はまーだぐずっています。ダメな男まっしぐら。
 でもようやく「ごめんなさい」ができました。
 
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ゼクス・十三

「すまなかった……」

 ゼクスはベンチに座るエミオンからゆっくりと距離を取った。つくづく眺める。淡い月光に浮かび上がるエミオンは罪なくらい美しい。

 ……思った通り、白いドレスがよく似合っている。

 今宵のために、清純なエミオンに相応しい純白を選んだ。布地は光沢を備えた最上質のものを取り寄せ、着心地に配慮しながらも露出の少ない最先端のデザインで作らせた。正面はシンプルに、背面はドレープを贅沢に、過度な装飾のないドレスは動作やしぐさの一つ一つを際立たせ、より優雅にエミオンを輝かせていた。
 今日は髪型も手が込んでいたし、化粧も華やかだ。眼が眩むほどきれいで、なのに一言も褒め言葉を口にできなくて……ゼクスは自分の不甲斐なさにほとほと嫌気がさしてしまった。着飾った妻を称賛することもできないなど、夫失格だろう。
 怒って非難されても仕方ないくらいなのに、エミオンはゼクスを責めなかった。ゼクスといえば、自分にがっかりしていた。
 せめてこの口下手な性分さえどうにかできれば、もう少し上手にエミオンの心に近づけるだろうに……どうしてもエミオンの前に出ると委縮してしまい思うように振る舞えない。

 ダメな男だ……。

 ゼクスは顔を背けた。この続きはとてもではないがエミオンの顔を見ては話せない。
 式典の間中、ゼクスはこっそりエミオンだけを眺めていた。幸福だった。ただ傍にいられるだけで、それだけで本当に幸せだった。やや離れた場所で式典に列席する側近のダンが「自分の妻にぼけっと見惚れているな、前を見ろ! しゃきっとしろ!」としきりに目配せを送って寄こすが、ゼクスはかまうものか、と開き直っていた。夫が美しい妻に見惚れてなにが悪い。

「……?」

 だが当のエミオンはなんだかしょんぼりした様子で、元気がなかった。迎えに行ったときはそわそわと落ちつかないながらもこんなに暗い顔をしてはいなかったのに。原因を探ろうにもなんて言葉をかけたらよいものかわからず、グズグズする間にダンスが始まり、うまい誘い文句も思いつかず機を逃し、あとは人波に殺到され、はぐれてしまった。
 大広間に入って来たエミオンを見つけた瞬間は、一気に気分が高揚した。眼が奪われる。呼吸をするのも不自由なくらい陶然となりかけたところで、周囲の男たちの物欲しげな視線がエミオンに注がれていることに気づいた。
 嫉妬した。見るな、と大声で叫びたかった。これだから人前にエミオンを連れ出すのは嫌なのだ。他の男の眼に触れるだけでエミオンが穢されるようで、とても我慢ならない。
 ゼクスはすぐさまエミオンをこの場から隔離しようとした。だがその前にエミオンの様子がおかしいことに気がついた。――頬に涙の痕がある!
 たちまちどす黒い感情が心を占めた。他にはなにも考えられなくなった。あの気丈なエミオンが泣くほど傷つけられたことに抑えようのない怒りを覚えた。胸の奥から報復を誓う念がむくむくと首をもたげてくる。
 だが結局のところ、ゼクスの心配は杞憂にすぎず、エミオンの言い分では誰も悪くはないらしい。
 釈然とせず表情を曇らせたゼクスの前で、エミオンもなにか葛藤に苛まれている。

 ……お互いがお互いの拠り所となれるような夫婦関係だったらよかったのに。

 今更そんなふうに理解し合うことは無理があるにしても、せめて泣かせたくない。いつだって笑っていてほしい。
 たったそれだけの願いすらかなわないのは、やはり自分の行いに非があるのだろう。

 ……私の身勝手さが、あなたを不幸にしている。

 ゼクスはますます自己嫌悪に陥りながら、無様な懺悔を続けた。

「あのとき……」
「『あのとき』……?」
「はじめて会ったあのとき、あなたは……大人たちに囲まれて一人つまらなそうにしていた。私はあなたを一目見たときから眼が離せなくて、笑った顔を見てみたくて……」

 まるでエミオンの居場所にだけ光が射したように鮮やかで、キラキラと輝いて見えた。

「近づきたいのに近づけなくて……私はただ遠巻きにあなたを見ていたんだ。どうしたらあなたの笑顔を見られるのか、それだけを考えながら……」

 ――名前も知らない女の子。
 ――どうか、笑って。

 ゼクスは夜陰の中で自嘲的な笑いを浮かべた。

「……生憎と言葉を選び損ねてしまい私の願いはかなわなかったけれど……あなたを傷つけるつもりはなかった。泣かせるつもりなど本当になくて……いや、言い訳など見苦しいな」

 深い後悔に苛まれながらゼクスは「ふーっ」と肩から力を抜き、溜め息をつく。

「後悔先に立たずとはよく言ったものだ……あの一言で私はあなたに嫌われ、避けられるようになり、ようやく物心がついたときには既に溝は深く……あなたは私を見るごとに険悪な表情を浮かべるようになった……」

 自業自得だ。もう何千回もそう繰り返して己のバカさ加減を呪った。

「取り返しのつかないことを言ったと、ずっと後悔している……あんな心にもないことを告げなければ私とあなたの関係はもっと違ったものになった可能性もあるのに……無知とは罪だな。私は掛け値なしのバカだ」
「……ま、待って……」
「あなたはブスではない。あなたは」

 口ごもる。
 本当の気持ちをほんのひとこと言葉にするだけなのに、どうしてこんなにも緊張するのだろう。
 ゼクスは心を震わせながら、エミオンにはそれと悟られぬよう息を詰めて呟いた。

「あなたは……この世で一番美しい人だ……」


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【2014/04/22 14:42】 | 受難の恋
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 春なので、テンプレートを春仕様に変更しました。
 作ってくださった方、ありがとうございます。
 
 終盤にきて、ぐずぐずと、煮え切らない2人です。
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エミオン・十三

 そんなことあるはずないのに――。
 だけどゼクスの言い分を聞いていると、まるで告白されているような気がする。
 まさか。
 でも――?

 混乱したままエミオンがおずおずと訊ねたところ、ゼクスは途端に無表情になった。
 その顔を見て、エミオンの気持ちは一気に萎んだ。やはり勘違いだったのだ。ばかなことを訊いてしまった、とすぐに後悔した。
 非常に長い沈黙のあと、ゼクスは肩を所在なげに落として深い溜め息をついた。

「……それを聞いてどうする……?」

 疲れ切った声でゼクスは言った。

「……あなたが私の気持ちを知ったところで、十中八九……不愉快な思いをするだけだ」

 物憂い口調の中に諦めが色濃く滲んでいる。
 エミオンはゼクスを見つめた。長身で痩せぎす、思慮深くも陰気で無口な上に愛想もなく、若さを欠いた哀愁の漂う雰囲気を纏っている。
 
 いつもどこか暗く、寂しげで。
 いったい、いつから……?

 エミオンは無意識のうちにやや前屈みになり、伸ばした指でゼクスの額にこぼれた黒髪を梳いて彼の形のいい耳にかけた。

 ――初めて会ったときは、キラキラしていた。

 いきなり「ドブス!」と罵られた、忘れもしない初対面。
 子供らしく、事実子供だったのだけれど、ゼクスの黒い双眸は夜空に瞬く星のように屈託なく輝いていた。ゼクスの明るく嬉しそうな無邪気な顔と、周囲のぎょっと緊張した空気のギャップが激しくて、ひどく戸惑ったものだ。
 幼すぎて、ぶつけられた言葉の意味もわからなかった。
 教えられたときには、その子のことを嫌いになっていた。
 だけど少なくとも最初からこんな鬱々とした眼だったわけじゃない。

 ……誰かが、ゼクスを変えた。こんなにも思い詰めた眼をさせるほど、彼を恋に狂わせた。
 ――彼を、恋に……狂わせ、た……。

 過去に思いを馳せ物思いに耽ったエミオンの耳に、不意にゼクスのポツリとした呟きが届いた。

「エミー……」
「え?」
「っ。す、すまない!」

 焦って身を退いたゼクスは顔を横に背け、手の甲で口元を押さえた。羞恥のためだろうか、少し頬が赤い。
 エミオンも我に返り、いつのまにかゼクスに身体を寄せていたことに気づいた。指にサラサラしたゼクスの髪の感触が残っている。

「あ……」

 もう片方の手で右手を覆い、胸に押しつける。指が熱い。今更ドキドキしてきた。

「……」
「……」

 木々の枝が風にしなり、さわさわと音を立てる。噴水の絶えまない水音と遠くから聴こえる舞踏会の音楽が二人の間の沈黙を優しいものにしていた。

「あの……」
「……なんだ」

 エミオンはゼクスを見ずに口を利いた。

「さっき、エミーって……呼びました?」

 ゼクスがピクリと震える気配がした。

「……呼んだ。口が……滑った。すまない」
「いえ……久しぶりに、そう呼ばれました」
「そ、そうか」
「はい」

 また会話が途切れる。

「……」
「……」

 今度はゼクスが意を決したように勢い込んで言った。

「エミオン姫」
「……はい?」
「……ずっと以前から、言おうと思っていたことがあるのだ。聞いてくれるか」

 声が緊張のため掠れている。
 エミオンは手を振り、ちょっと待って、という動作をして気を落ちつけようと思った。

 ――話を切り出されるより、切り出そうと腹を決めたのだろう。

 アギルの言葉が真実ならば、ゼクスは道ならぬ恋をしているに違いない。自分というかりそめの妻を隠れ蓑に、叶わぬ想いに身を焦がし、ただ一途な恋をしている。

 ――その相手が、誰なのか。
 知りたい。知りたくない。

 もう何度も自問自答して、繰り返し、繰り返し、悩んできた。
 ゼクスが言い出してくれないのなら、こちらから問い質そうと思っていた。でもいざとなると勇気がなくて挫けていた。

 でも、もう限界だ。
 聞くしかない。
 知るしかない。
 結局のところ、逃げても苦しみが長引くだけ……なんの問題の解決にもならないのだから。

 エミオンは唾を飲み、グッと拳を握ってゼクスを振り返った。
 ゼクスもエミオンに劣らず、厳しい表情をしていた。寄せた眉、思い詰めた漆黒の瞳にはエミオンが映っている。

「……聞いてくれるか」
「……聞かせてください」

 エミオンが応じるとゼクスは頷いて、ゆっくりと唇を動かした。

<< 次の話  
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【2014/04/04 14:59】 | 受難の恋
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菜の月
『嘘キス』『迷惑な溺愛者』を読み、こちらのサイトにたどり着きました。
『受難の恋』ドキドキします!!
続きがとても楽しみです(*^_^*)

素敵なお話を有り難うございます!!



Re: 菜の月様へ
安芸とわこ
 こんばんは、菜の月様!
 はじめまして。ご来訪ありがとうございます。
 拙作、嘘キス・迷惑~の拝読いただきまして嬉しいです。
 皆様に少しでも楽しんでいただければ望外の喜びです。
 受難~は残すところあと数話ですが、どうぞ最後までよろしくお願いいたします。
 安芸とわこでした。

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