プロフィール

安芸とわこ

Author:安芸とわこ
 安芸とわこと申します。aki・towako

 ここに置いてある作品は管理人のオリジナルであり、著作権は管理人にあります。無断転載やパクリは厳しく対処いたします。どうぞご了承くださいませ。

 尚、荒らしや悪戯目的の訪問は固くお断りいたします。
 感想・ご意見等は喜んで承ります。

 新刊書籍 王宮書庫のご意見番 発売中
 書籍 恋するきっかけは秘密の王子様 発売中
 書籍 異世界の本屋さんへようこそ! 全3巻 発売中
 書籍 愛してると言いなさい 全4巻 発売中

では、物語が少しでも皆様の心に届きますように……。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
カテゴリ
新刊 王宮書庫のご意見番

王宮書庫のご意見番 (レジーナブックス)

新品価格
¥1,296から
(2017/4/27 22:32時点)

恋するきっかけは秘密の王子様

恋するきっかけは秘密の王子様 (レジーナブックス)

新品価格
¥1,296から
(2016/5/26 21:43時点)

異世界の本屋さんへようこそ!3

異世界の本屋さんへようこそ!〈3〉 (レジーナブックス)

新品価格
¥1,296から
(2015/6/18 17:42時点)

異世界の本屋さんへようこそ!2

異世界の本屋さんへようこそ!〈2〉 (レジーナブックス)

新品価格
¥1,296から
(2014/9/1 12:17時点)

異世界の本屋さんへようこそ!

異世界の本屋さんへようこそ! (レジーナブックス)

新品価格
¥1,260から
(2014/1/22 13:55時点)

愛してると言いなさい 

愛してると言いなさい (レジーナブックス)

新品価格
¥1,260から
(2011/12/22 01:19時点)

愛してると言いなさい・2

愛してると言いなさい〈2〉 (レジーナブックス)

新品価格
¥1,260から
(2012/1/2 17:42時点)

愛してると言いなさい・3 

愛してると言いなさい 3 (レジーナブックス)

新品価格
¥1,260から
(2012/8/1 22:51時点)

愛してると言いなさい番外編~彼方へ~

愛してると言いなさい番外編―彼方へ (レジーナブックス)

新品価格
¥1,260から
(2013/12/26 11:13時点)

愛してると言いなさい 
愛してると言いなさい・2
愛してると言いなさい・3
愛してると言いなさい・番外編~彼方へ~
アルファポリス様
 
08/10(Wed)

今日は何の日? 雨が降っています

愛してると言いなさい
*小説家になろう様より移行しました。
<< 前の話

「雨、止まないね」

 向かいの席に座る紅緒が、お茶を啜りながら、窓の向こうを眺めて言った。
 リゼは遅い昼食の真っ最中で、紅緒がつくったフレンチトースト(食べやすいよう角切りにしたもの)をぱくついていた。

「こら、よく噛んで食べなさい」
「ふぁい」

 叱られたので、もごもごと返事をする。
 紅緒はまた窓の外に眼をやって、しとしとと降り続ける雨に溜め息をついた。
 
「この雨じゃあ、お買い物もいけないね。せっかく楽しみにしていたのに」
「でも、今すぐ欲しいものはないし……買い物は次の機会でもいいよ」
「違うの。私がリゼになにか見立ててあげたかったの。リゼにはいつもお世話になっているから、その御礼を込めて」

 リゼは真顔で否定した。

「……いや、どう考えてもお世話してもらってるよ、僕は」
「うん、それはそうなんだけど。でも、リゼには眼には見えないところで、たくさん助けてもらってるから……」
「ベニオ……」
 
 優しく微笑まれて、リゼはじーんと感動する。
 思わず手の止まったリゼの顔を見て、紅緒が笑い、「パン屑ついてる」と身を乗り出して布巾で口元を拭ってくれた。

「食べ終わって一服したら、ちょっと早いけどお湯を沸かそうか。髪を洗ってあげる」
「…………は?」
「お風呂で髪を洗ってあげるって言ったの」

 無邪気に過激な発言を直に聞かされて、つい、リゼは想像した。

「ぐはっ」
 
 と、呻いて椅子ごと後ろにひっくり返る。

「きゃあっ。大丈夫!?」

 リゼは思いっきり後頭部を打って非常に痛い思いをしたが、問題は頭よりも鼻だった。

「だ、だいぶじょ、だいぶじょう……いや違う、大丈夫、ううう、は、鼻血が……っ」
「鼻をぶつけたの?」
「ちがうけど……あのう、ほ、本当に一緒にお風呂に入ってくれるの?」

 慎重に確認する。期待しすぎは身体によくない、きっとなにかの間違いに決まっている、だけどもしかしたら――という淡い希望も捨てきれない。
 だが案の定、

「え? やだ、違うわよ。リゼが浴槽につかったままで、私が髪だけ洗って上げるの。でも別にしてほしくないなら――」
「洗ってほしいです! ぜひ!! ……ち。やっぱりだめか。くっそ、いっつもこれだもんな……人をぬか喜びさせてから叩き落とすって、どんなイジメだよ……」
「え? なにか言った?」
「なんでもないです……」
 
 それでも紅緒の甘い声を聞きながら、他愛のない会話を交わし、優しい手つきで丁寧に髪を洗われ、拭いてもらうと、かなりうっとりした気分になった。
 
 おまけに――。

「気持ちいい?」
「最高ですっ!」
「あ、動いちゃだめ。危ないでしょ」

 長椅子にリゼが横になり、紅緒に膝枕をしてもらいながら、耳かきをしてもらう。
 
 この至福の時間……!

「我が人生に悔いなしっ……」
「おおげさ」
 
 ちっともおおげさじゃない、とリゼは思う。
 紅緒が身体の力をすっと抜いた自然体で、自分の傍に寛いでいてくれることが嬉しい。警戒心のまるでない微笑を間近で見られることに幸せを噛みしめる。
 きれいだなあ、とつくづくみとれてしまう。
 そう言っても信じてもらえないところが哀しいが。

「はい、おしまい。もう動いていいよ」
「……ベ、ベニオ! あの」
「ん? かゆいところでもある?」
「じゃなくて!! き、聞いてほしいことが――」
「に」

 と、鳴いたのは毎度おなじみいいところを邪魔するチビ猫で。いつの間にどこから現れたのか、紅緒のふとももに擦り寄っている。

「チビクロ! 来ていたの? 元気だった?」
「にー! にー!」
「あはっ。うん、私も元気。会いたかった」
 
 ちゅ、と音を立ててチビ猫の額にキスする紅緒。
 リゼは、「わーっ」と騒ぐが、紅緒は既にリゼより愛猫に夢中になって、リゼを残し、厨房へと向かう。

「リゼ! チビクロにミルクセーキつくってあげるけど、リゼも飲む?」
「飲む」
「じゃ、つくってあげる」

















     おまけ


 数分後、食卓の席でリゼとチビクロは並んでミルクセーキを飲んでいた。

「おいしい?」
「にー」
「うん」

 すると、紅緒がにこっとして両手を伸ばして、なでなでと、リゼとチビクロを撫でた。
 リゼとチビクロはどちらも鼻の下を伸ばしてじっとした。
 紅緒に撫でられるのはとても気持ちがいい。

「……いつも優しいけど、今日は特に優しいね」
「今日は特別」
「なんで特別?」
 
 あ。ちょっと嫌な予感。
 なんだか、既視感を覚える……そうだ、前にもこれによく似た会話をしたような……。

「今日はね、向こうの世界では六月の第三日曜日で」
「うん」
「父の日といって、いつも家族のために働いているお父さんに感謝する日で――」

 ばたっ、とリゼは食卓に突っ伏した。ふるふるふる、と震える。カタカタカタ、とガラス細工のグラスと猫用のミルク皿が不安定に揺れる。

「ベニオッ!!!!」
「な、なに、急に大声出して」
「なにじゃないよ! なんっで僕が“お父さん”なの!?」
「え、だって」
「わーっ、わーっ。やっぱり聞きたくない――!! この前は子供の日で子供扱い、今日は今日で父の日でお父さん扱い、ベニオは、ベニオは、僕のことなんだと思ってるんだ!?」

 紅緒はきょとんとして、曰く、

「リゼはリゼでしょ」
「そうじゃなくって……っ。もっとこう、他にいくらでも甘い言い方があるだろう……!!」
 
 ぶつくさ文句言っても、はじまらない。
 だが膝に肘をたて、額を伏せて腐っていると、頭上で「さてと」と紅緒が傍を離れる気配がした。

「じゃあ私もお湯が冷めないうちに、お風呂に入ってこようかな」

 途端に、リゼの頭の中は桃色の妄想でいっぱいになって、胸がどきどきした。

「あ、うん。ゆ、ゆっくり、あったまってきて」
「ありがと。じゃあ行こっか、チビクロ、おいで」
「いってらっしゃ――って、はっ!? ち、ちょっと待ったああああっっ!!」
 
 リゼが素っ頓狂な声を張り上げたので、驚きのあまり、紅緒がぴょこん、と跳ねる。

「な、なんなの、さっきから」
「なんなのじゃないよっ!! なんでそいつをお風呂に連れていくの!?」

 すると信じがたい言葉が返ってきた。

「え? だっていつも一緒に入ってるし」

 リゼはその場で石になった。

「? リゼ、大丈夫?」

 リゼは爪を剥いて臨戦態勢を取っているチビクロをぎろりと睨んだ。

「…………表に出ろ、このクソバカチビ猫」

 むっとしたのは紅緒で、すかさずチビクロを抱き上げて懐に庇う。

「リゼ、口悪い」
「だって……!! そいつ、ベニオの裸を見たんだろ!? 許せん……っ!! 僕だってまだ見たことないのに……!! 今日という今日は勘弁してなるものかっ。猫鍋にして喰ってやる!!」
「にーっ!!」

 やれるものならやってみろ、と言わんばかりに紅緒の腕の中でチビクロがシャーッと唸って。
 
 かくして闘いのゴングは鳴った。

<< 次の話 
スポンサーサイト
 

Comment


 (管理者にだけ表示を許可)
 
PREV HOME NEXT
 
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム
QRコード
QR
安芸物語